- WordPressに保守って必要ある?
- 自分でWordPressのブログを作ったんだけど、制作会社に保守だけお願いしたほうがいいかな?
- 制作会社に保守をお願いした方がいい人って、どういう人?
そんな悩んでいる人に向けて書いた記事です。
あやおり子はWEB制作歴5年になるWEBデザイナーです。
以前はWordPressの専門会社に勤めていました。
私はWEBサイト制作にあたり、制作会社からの保守を依頼する必要はないと考えています。
なぜなら、制作会社で行われているWordPress保守は、営業に繋げるためのリード(見込み客)獲得目的であることが多いためです。
制作会社に保守を依頼する必要はない理由
私が制作会社に保守を依頼する必要はないと考える理由について、書いていきます。
理由1: 制作会社に保守を頼むと、セキュリティ対策の理想である「都度アップデート」が難しいから
「WordPressはセキュリティに弱い」と言われています。
制作会社の営業の人にどうしてかと聞くと、
全世界でWordPressのシェア率が高いから、セキュリティに弱い!
と言われることが多いと思いますが、それは本当でしょうか?
例えば、iPhone。
日本では、Androidと比べて利用者が多いといわれていますが、だからセキュリティに弱い話にはなりません。
何故でしょう?
それは、「定期的にアップデートされているから」です。
iPhoneに大きなセキュリティの穴があった場合、もちろんiPhoneはその穴を埋めるためのアップデートをします。
なので「アップデートしてください」と通知されたタイミングできちんとアップデートしていたら、そこまでセキュリティに神経を張り巡らせる必要がないのです。
じゃあ、制作会社でアップデートをするとどうなるか。
制作会社でアップデートしてくれるのは「半年〜年1回」であることが多いです。
それは、マイナーアップデートの頻度がおおよそ半年に1回であるだとかの営業トークがありますが、そんなの建前。
アップデートした数週間後に「プラグインのアップデートしてください」と出ることもある。
それに敏感に反応して逐一対応していたら、キリがないじゃん。
つまりは、プラグインがセキュリティアップのためのアップデートをしたとしても、制作会社の都合でアップデートがされないことが多いのです。
もちろん、複数のタイミングでアップデートすれば、サイトを動いているかの検証作業も1回で済むメリットもあります。
しかし、サイト全体に影響が出るプラグインは、そこまで多くありません。
例えば「パンくずをつける」プラグインをアップデートした場合、確認する場所はパンくずのところだけで十分なのです。
本体をアップデートは、プラグインがアップデートされなかったのが原因で、不具合が起きていることもしばしば。
それなら、プラグインをこまめにアップデートすることで、本体をアップデートするときに起こる不具合の原因を潰した方が、アップデートの成功率が圧倒的に高まるのです。
理由2: アップデートをすることのデメリットは、制作会社でも一緒だから。
アップデートする際のデメリットとしては、アップデートすることによりUIが変わったり、最悪の場合データが飛ぶこともあります。
しかし、これらは制作会社がアップデートをしても一緒。
制作会社によっては、修正による追加費用を取られたり、アップデートされずにスルーされてしまうこともあります。
なので、バックアップを取った上で、自分できちんと検証環境で確認したほうが、セキュリティアップとコスパを両立出来るのです。
理由3: 急に見れなくなっても、制作会社がすぐに対応してくれるとは限らない
サイトが急に見れなくなっても、制作会社がすぐに対応してくれるとは限りません。
なぜなら、制作会社は企業であるため定時が決まっており、場合によっては別途費用がかかるからです。
WEBサイトでは残念ながら、何もしていないのに突然サイトが見れなくなることがあります。
もし、制作会社で保守契約をしていたら、制作会社に問い合わせるでしょう。
しかし、これが起きたのが、「金曜深夜」だとしたらどうでしょう?
制作会社に連絡しても、だれも返事をもらえない。
もし対応してくれる人がいたとしても、エンジニアであるとは限らないため、確認が翌日になることもあります。
原因は様々だと思いますが、もしレンタルサーバー会社の不具合だとしたら、どうでしょうか。
社内で特殊な作業をした人がいないかを確認した上で、サーバー会社のHPやメールを見たり、サーバー会社に問い合わせることで、原因が判明します。
制作会社の人はプロなので、WordPress側のエラーか、サーバー側のエラーか判断してくれるでしょう。
一方で、制作会社は平日しか連絡が取れず、制作会社を経由せずにサーバー会社へ直接問い合わせることが難しいデメリットを考えると、個人で対応したほうがリスクが低いとも考えられます。
前職ではXserverを利用しており、結構な頻度でお問い合わせさせていただきました。
Xserverはサポートが手厚いことで有名で、もしテーマ側の不具合だったとしても丁寧にサポートしてくれます。
他のサーバー会社では「問い合わせても返事が来ない」と言った不満をよく聞きますので、慣れていない人はXserverを契約することをオススメします。
理由4: ドメインやコンテンツを守るため
どのような制作会社であっても、「倒産」するリスクがあります。
そこで確認ですが、もし倒産したらサイトはどうなるでしょうか?
じつは、「WEBサイトは制作会社から借りているもの」と捉えている会社もあり、
倒産したら見れなくなったり、バックアップデータがないため別サーバーでの復元も難しい可能性もあります。
自分のドメインやコンテンツを守るためには、制作会社に丸投げせず、要件をきちんと確認しながら依頼することが大事です。
理由5: WordPressの新機能を試したり、プラグインを導入することが難しい。
WordPressの保守を依頼すると、WordPressやプラグインの新機能を試しながら使うことは事実上難しいです。
なぜなら、制作会社としては動作確認する手間があるため、予期せぬ新機能を使ってほしくないからです。
弊社ではWordPressのレクチャーも行います!!
分からないことがあったらサポートします!!
と言われることもありますが、レクチャーはあくまで、納品時の時点で「更新する」ことに絞った話。
そのため、もし納品後にWordPressの新機能が追加されても、制作会社にとってはいい迷惑と思っていることが多いです。
なので、制作会社側から新機能が出ても極力使ってほしくないですし、「こんな機能が出ました!使ってみてください!」と言ってくれる訳がありません。
プラグインの導入もテーマとの相性があるため、制作会社で使用実績のないプラグインはオススメしたくないのが本音です。
なので、WordPressの新機能を試したかったり、プラグインを導入してみたい人は、制作会社の保守と相性が悪いかと思います。
理由6: フリーランスにお願いしたほうが、トータルで安い場合が多いから
それでも、もし大きな不具合があった場合、頼れる人がいないのは不安でしょう。
その場合、「制作会社の保守」として頼むのではなく、「単発で依頼」するようにしましょう。
制作会社に頼むと保守費用は安くても月1万円分。
もしどうしても依頼したい場合はちょっと値段が張る場合があるかもしれませんが、その分の費用分回収することは簡単でしょう。
個人的にオススメなのは、仲いいサイト専属のフリーランスを探しておくこと。
制作会社よりも台頭な立場で、相談にのってくれますし、もし保守をお願いするにしても、制作会社よりも安価になるケースが多いです。
また、不具合があった時に対応してくれる人を探す手間が無く、サイトの全体像を把握しているので、原因究明が早くなるのはメリットかと思います。
万が一、専属のフリーランスの手が空いていない場合でも、詳しい知り合いを紹介してもらえる可能性があるのは、ありがたいですね。
制作会社に保守を依頼した方がいい場合
では逆に、制作会社に保守を依頼した方がいい場合もあります。
例外1: WEBの担当者が安定せず、コロコロ変わる
会社によっては、WEBサイト担当者がコロコロ変わるので、制作会社に任せたほうが助かるケースもあるでしょう。
WEBサイト担当者がコロコロ変わる環境では、担当者の知識レベルがバラバラであるため、引き継ぎが難しい場合があります。
例えば、最初の担当者はFTP情報情報を共有しておいたけど、次の担当者はWEBに疎く、FTP情報がどれだかわかりません。
こういった状態だと、ドメインの支払い忘れも可能性としてあるでしょう。
そういった可能性を防ぐために、WEB制作会社にWEBサーバーを預かっていただく選択肢も視野に入れていいと思います。
例外2: WEBサイトの「運用」もお願いしたい場合
WEBサイトの保守だけではなく、運用をお願いしたい場合も、制作会社に任せた方がいいでしょう。
ここでいう「運用」というのは、SEO対策やサイト改善のこと。
- サイトのターゲット層をしらべ、どういった人が見ているのかを調べる
- GoogleAnalyticsでサイトの現状を調べる
- 1と2を照らし合わせて改善案を考えて実行
- 2と3の間で変化があったかを確認する
- 3と4を繰り返す
といった手順が必要になります。
特に5の手順が大事だと言われ、1つのサイトに向き合いながら、繰り返し対応することで、効果が見えるものだと言えます。
このフローを制作会社にお願いする場合、サイトの構造や現状を把握しておいた方が有利に進められますので、保守もまとめて、まるごとお願いするといいでしょう。
制作会社がGoogleAnalyticsのレポートを出して対応するパターンもあります。
しかし、この場合はサイト改修作業依頼がメインとなるので、改修前後の効果まで見てくれる制作会社さんは少なく、あまり大きな効果は期待できないでしょう。
例外3: オリジナルテーマを作って、ゴリゴリにカスタマイズされている
オリジナルテーマを使って、ゴリゴリにカスタマイズされている場合も、制作会社さんに依頼したほうがいいでしょう。
この「ゴリゴリにカスタマイズ」というのは、ACF(Advanced Custom Fields)でガチガチに作られていたり、検索機能やCSV出力などの特殊な機能がついている場合です。
これらの場合は、不具合が起きた場合に「サイトの構造がどうなっているか」から確認し直す必要があり、不具合があった時に原因を調査すると、時間がかかる可能性があるからです。
制作会社に頼らず、自分たちで保守をするために必要なもの
では、制作会社に頼らず、自分たちで保守をする場合、どのようなことを気をつければよろしいでしょうか?
資料を残して、万が一のときでも共有しやすくする
不具合があった時に外部の人に相談が出来るように、以下の資料を残しておくと、作業がしやすくなるでしょう。
- サーバー設定情報
- ディレクトリマップ
- 更新履歴一覧(いつ、誰がどういったプラグインを更新したか等)
同じサーバー内で検証環境を作る
WordPressを作成するにあたり、同じサーバー内で検証環境を必ず入れてください。
個人的な体感で、WordPressの不具合で多いのは
- PHPの対応バージョン違いによる不具合
- WordPressのテーマとプラグインの相性が悪い
- バージョンアップによる仕様変更
であることが多く、これらは同じサーバー内の検証環境で確認することで、防ぐことが出来るからです。
また、もし大きな不具合があったとしても、あくまで検証環境です。
原因が調査が出来るエンジニアのスケジュールが取れなくても、焦る必要はないでしょう。
定期的にバックアップをとるツールを入れる
定期的にバックアップをとるツールを入れることをオススメしています。
BackWPup
個人的にオススメなのは、「BackWPup」プラグインを使って、Dropboxなどのクラウドサーバーにアップロードすること。
サーバー容量が圧迫されないですし、万が一サーバーに入れないほどの不具合が起きたとしても、別のサーバーで復元することが出来ます。
All in One WP Migration
また、「All in One WP Migration」プラグインもおすすめです。
こちらは専用ファイルでバックアップを作成してくれる他に、バックアップデータをドラッグ&ドロップでサイトを復元してくれます。
もし大きな作業をする前は、「All in One WP Migration」で一度バックアップを取ってからアップデートし、不具合があった場合は復元をすることも可能です。
さらに、検証環境に本番環境のファイルをアップロードして、検証環境に本番環境のデータをそのまま持ってくることで、検証の効果を高めることも出来るでしょう。
検証作業とバックアップ取得を忘れずに。
冒頭でも書きましたが、WordPressをアップデートするときは、検証環境での検証作業とバックアップ作業を十分に行った上で、対応してください。
不具合を防ぐのはもちろん、検証環境があるだけで、不具合の原因を特定するのが楽になります。
また、バックアップを取っていれば、いざという時に復元可能です。
なので、繰り返しにはなりますが、事前に検証環境での検証作業とバックアップ作業を十分に行ってください。